更年期障害と間違えやすい病とは?
「きっと更年期に違いない。」
そう思う理由はなんですか?
雑誌やネットでの更年期障害の記事と同じ症状だから?
年齢?
生理が止まったから?
女性ホルモンの減少は女性誰にでもある事だから?
経験者が「それは更年期よ。」と言ったから?
経験者の話や体験談、症状などから「更年期障害だから時間が経てば治る。」と自己完結していませんか?
更年期障害と思っていたら実は大変な病が隠れていた!という場合があるのです。
てっきり更年期だと思い込んでそのままにしていたらどうなるのでしょう。
本来適切な治療を受けていれば、早く症状が改善できるかもしれません。
更年期障害は多岐に渡ります。
更年期の時期だけの「期間限定」の症状なのか。それとも全く違う病なのか。
見極めるのは非常に難しい。
症状だけで、年齢だけで決めるのは危険です。
どんな病気が更年期障害と間違われやすいのでしょうか。
- 甲状腺機能亢進症
- 糖尿病
- 高血圧
- メニエール病
- 子宮や卵巣の疾患
- 関節リウマチ
診断の決め手になる症状が、ちょうど更年期症状と似ているので間違いやすい病気の一 例です。
症状は似ていても、治療法は全く異なります。
なぜなら原因が違うから。
ここでは特に間違えやすい『甲状腺機能亢進症』『メニエール病』『関節リウマチ』について考えてみましょう。
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
更年期の時期に起きやすい病気の1つが、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)です。
男性に比べて女性の患者数が多く、皇室では美智子様が、また最近では歌手の絢香さんが公表したことで、病名が広く知られるようになりました。
甲状腺機能亢進症の発症年齢は20代から50代と幅広く、特に中年層の患者さんが多く、症状も似ていることから間違いやすい病気とされています。
① 原因
更年期障害はエストロゲンの量が減少することで起きました。
では甲状腺機能亢進症の原因は?
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるために起きます。
② 症状の一例
- 発汗
- 動悸、
- 髪が抜ける
- 体重の増減
- むくみ
- 全身倦怠感
- 便秘
- 皮膚の乾燥
- 生理異常や経血の増減
中でも「発汗」「動悸」「全身倦怠感」「生理異常」は更年期症状とよく似ていますよね。
皮膚の乾燥やむくみ、便秘なども多くの更年期女性が悩んでいる症状ですから、症状だけでは自分で判断するのは難しいことでしょう。
③ 診断
更年期障害の治療を受けてもなかなか改善しない、または更年期年齢を過ぎても症状が残っている場合、1度医療機関で甲状腺機能亢進症かどうか診断してもらいましょう。
甲状腺ホルモン検査には血液検査や超音波検査などがあり、ホルモン検査では診断しかねる場合にはラジオアイソトープ検査を行う場合も有ります。
④ 治療法
更年期障害の場合、減少したエストロゲンを補充するホルモン治療や漢方、精神症状にはカウンセリングや抗不安剤の使用が治療法としてありましたね。
では甲状腺機能亢進症は?
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起きるため、分泌を抑える治療法が取られます。
内服でのホルモン量のコントロールの他に外科的な処置が取られる場合もあります。
メニエール病
メニエール病も30代から50代の女性患者の多い病気です。
① 原因
メニエール病は内耳の異常が原因とされています。
なんらかの理由(ストレス、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足や疲労などが関係するのでは?と言われていますが明らかになっていません。)から内耳の中にリンパ液が過剰に溜まってしまい、水ぶくれ状態になってしまいます。
② 症状
- ぐるぐるまわるめまい
- 耳鳴りや耳が詰まった感じ
- 頭痛
- 聞こえの悪さ
- 吐き気
- 体がふわふわと浮いているような平衡感覚の異常
なんの予兆もなく、突然回転性のめまいに襲われ、立っていられないような状態に陥ります。
その時間は10分から数時間継続するのが大半です。
「めまい」「耳鳴り」「吐き気」は更年期障害とも似ていますね。
③ 一番の違いとは?
似ている「めまい」症状。
しかしメニエール病と更年期障害では違いがあります。
メニエールのめまいは自分や周りがぐるぐると目が回る(回転性)めまい。それに伴い一方の耳だけに耳鳴りが起き、聞こえが悪いという3つの症状が同時に起きます。
更年期のめまいで多いのは体が浮いていて、地に足がついていないふわふわとした感覚(浮動性)のものです。
耳鳴り症状もそれほど深刻ではなく、静かな環境下で「キーン」という音を感じます。
④ 診断・治療法
メニエール病の診断の決め手は「繰り返す」。
1回だけ症状が出たからといってすぐには診断されません。
十分な問診後、聴力検査は眼振検査など必要な検査を経て診断されます。内服や点滴で治療を行います。
関節リウマチ
更年期障害症状の1つに関節の痛みがあります。またこわばりを感じる人も多い事でしょう。
① 原因
体を守る免疫機能に異常が起き、関節組織などを攻撃してしまう自己免疫疾患の1つです。
過労やストレス、喫煙などの生活習慣、出産や怪我などをきっかけに発症するとも言われ、細菌・ウィルスの感染説などもありますが、まだ明らかにはされていません。
② 症状
関節の痛みや腫れが出ます。
左右対称に症状が出ることが多く、部位があちこちに移動するのが特徴。
リウマチは朝のこわばりが非常に強いのが特徴。
③ 診断
リウマチを診断する場合は血液検査やX線検査や尿検査などを組み合わせて診断されます。
自己判断は禁物
今回ご紹介したのはほんの一部にすぎません。
いずれにせよ自己判断は危険です。
気になることがあったら、専門医に相談するのが一番。
不安が長引けば、精神的な負担も大きくなりますよね。
エストロゲンは健康面でも頼れるガードマンでした。その頼もしい存在が徐々に力を弱めた今、体調の変わり目にきています。
更年期は次のステージ・老年期への過渡期。
不安を少しでも残さずに、次の老年期を笑顔で迎えたいですよね。